パリ生活30年の人気料理研究家、上野万梨子の初の書き下ろしエッセイ『パリのしあわせスープ 私のフランス物語』。
コロナ禍でパリの街にロックダウンが施行され、著者が「好むと好まざるとに関わらず缶詰になった」時に書いた本なのだという。
タイトルと帯からフランス料理のレシピ本?と思いきや、自由学園初等科への入学の思い出に始まり、初の料理本を出した時のエピソード、パリの暮らし、フランスの地方に旅行した時の体験談などなど、回想録の趣がある。
もちろん中心となるテーマは料理で、幾つものレシピが紹介されているが、その料理の歴史や著者の個人的感想、思い出などがたっぷりと添えられているのが面白い。
読み応えのあるエッセイである。
パリのしあわせスープ 私のフランス物語
発行 :株式会社世界文化社