フランス人の性 なぜ「MeToo」への反対が起きたのか (光文社新書)
副題にある「#Me Too」ムーブメントに対してカトリーヌ・ドヌーブ、レティシア・カスタなどフランスを代表する女優たちが、異議申し立てをしたのはなぜか? その謎を解明してくれる本である。
8歳から始まるフランスの性教育、フランスのフェミニズム運動の特殊性、政治家の不倫に寛容な国民性などに触れ、キリスト教や中世騎士道精神の影響、さらには1968年の5月革命、エイズの流行などによってフランス人の恋愛・結婚・セックス観がどのように形成され変化して来たのかをユーモアを交えながら分かり安く説明している。
多くの文献や統計にあたった学術的な内容でありながら、周りのフランス人への取材によって現代フランス人の生の声や本音を拾い、筆者自身の体験談も織り交ぜながら、思わず笑ってしまうようなユニークな筆者の感想も散りばめられていて、飽きずに最後まで読み通せる。
そして終章“セックスは誰のものか”で、著者が出した“結論”に共感する読者も多いのではないかと思う。
読書の秋の夜長にじっくり読みたい、一冊である。(江)