フランスのアリ学者による全仏ベストセラー『アリの放浪記 多様な個が生み出す驚くべき社会』

本書は、フランスのアリ専門家、オドレー・デュストゥールとアントワーヌ・ヴィストラールが、アリの生態を旅に見立てて紹介し、フランスでベストセラーとなった本である。

世界各地に生息する75種類のアリが登場し、その行動、形態、能力、感覚、個性、アリのコロニー内における役割分担などが語られ、その中でもコロニー全体の食料供給を担う「採餌アリ」に焦点が当てられる。
天敵や他種のアリに襲われたり、道に迷って帰れなくなったり、とまさに命懸けで餌の調達をする「採餌アリ」を、クロールで水辺を渡る水泳選手、仲間を救助し治療する看護師、地下でキノコを栽培する造園家、敵を巻き込んで自爆する特攻隊、空中を舞って落下するグライダー部隊などになぞらえ、その驚くべき個性と、能力、多様性を紹介する。

アリの視点で世界を見る、科学的冒険物語だ。


『アリの放浪記 多様な個が生み出す驚くべき社会』

著者:オドレー・デュストゥール , アントワーヌ・ヴィストラール
訳者:丸山 亮
日本語監修:丸山 宗利
発行:山と渓谷社

■内容
はじめに
序章 放浪記のヒロインたち/コロニー、超個体、集合知 

第一の試練 巣を出て、方向を見定める
森の呼び声/ダーティ・ダンシング/われを慕うものはわれに従え/道をたどる/悪銭身につかず?
第二の試練 食糧を見つけ出す
芳香/プレデター/無慈悲な襲撃/待ち伏せ/罠
第三の試練 食糧を育てる
恵みの収穫/キノコひとすじ/善悪の園/危険な関係/愛と宿命の泉/潜水服は蝶の夢を見る
第四の試練 食糧を運ぶ
重量挙げ/指輪の仲間/悪魔のいけにえ/盗まれた口づけ/現金輸送車/ハチミツとスポンジ
第五の試練 環境に適応する
砂丘/風と共に去りぬ/流れに逆らって/メデューズ号のいかだ/二つの岸を結ぶ橋/大都市(メトロポリス)
第六の試練 他者を利用する
寄生虫/ストックホルム症候群
第七の試練 縄張りを守る
身近な敵/無蟻地帯(ノー・アンツ・ランド)/ファイトクラブ
第八の試練 外敵から身を守る
スカイフォール/ジョーズ/鬼の訪問/カミカゼ/生ける屍
第九の試練 攻撃する・反撃する
恐れ慄いて/ロボコップ/人食いハンニバル
第一〇の試練 選択し、最適化する
アリアドネの糸/オン・ザ・ロード・アゲイン/二車線道路/栄光の道
第一一の試練 救助し、治療する
ライフガード/パルナサス博士の鏡
最後の試練 死
死につきまとわれて
おわりに
翻訳家あとがき
参考文献

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