フランスでゴンクール賞ほか6賞ノミネートされ、フロール賞を受賞して話題になったアベル・カンタン著 『エタンプの預言者』が日本で発売された。
白人男性65歳、元大学教師。リベラルで、しがらみのないインテリのつもりがまさかの炎上!?
かつてタレント歴史学者を夢見たロスコフは、落ち目だった。 95年に「冷戦下米国のソ連スパイ事件」を巡る書籍を刊行したが、翌日CIAが機密解除、本は一夜にして紙くずに。 妻とは離婚し大学を退職、酒浸りだったロスコフは、同性愛者の娘のフェミニストの恋人に刺激され、研究を再開、サルトルやボリス・ヴィアンと親交があったアメリカの詩人・ウィローについての書籍を刊行する。
客わずか5人の出版記念トークショーの席上、ロスコフはウィローが黒人であることを記述しなかった理由を問われる。 翌朝掲載された匿名のブログ記事が炎上し、ロスコフはレイシストだという非難にさらされる・・。
著者のアベル・カンタンは、弁護士でもあり、作家として、2019年に小説デビュー。本作が2作目で、ゴンクール賞、フェミナ賞、ルノードー賞、フロール賞、アカデミー・フランセーズ小説賞、ジャン・ジオノ賞6賞の候補となり、フロール賞を受賞し、注目を集めている。
著:アベル・カンタン
訳:中村佳子
発行元:株式会社KADOKAWA