この絵本を読めば、絵のテーマを探しに出かけるゴッホと一緒に散歩をしながら、ゴッホ流の「ものの見方」を知ることができる。
ゴッホが心ひかれるのは、ユニークな顔だちの人、まがりくねった木の根っこ、雨にぬれた泥の深い色…。そして、ひまわり畑にたどりつくと、枯れて地面に落ちている花も、大事にひろう。「きいろのシンフォニーが かけそうだ!」。みんなが見過ごしてしまうもののなかに、ゴッホは美しさを見つける。
「もし みんなが かんぺきだったら せかいは つまらないものに なってしまいますね」
このフレーズは、本書が伝える大切なメッセージとして、裏表紙にも記載されている。「みんながきれいだと思わないものでも、自分だけがきれいだと思うものがあれば、それを愛でていい」「人も、自然も、完璧でないからこそ面白い」。
そんなメッセージが優しく伝わるこの絵本は、「自分だけのものの見方」を育む助けになるだろう。
作者のバーバラ・ストックは、オランダ生まれ。ハーグの写真学校を経て、ジャーナリストとして働いた後、現在、漫画家・イラストレーターとして活躍している。2019年にアムステルダムのファン・ゴッホ美術館の協力を得て作成した本書は、ゴッホ生誕の地であるオランダで人気を博した。英語版も出版され、オランダ在住の翻訳者・川野夏実がこのほど日本語版の翻訳を手がけた。
『ゴッホとひまわり』
作:バーバラ・ストック
訳:川野夏実
発行元:月と文社